昔、延岡市へは何度か出張で訪ねております。延岡駅から高千穂駅行の始発電車がある事を見ていました。ここから高千穂へ行けるのだと思いながらも訪ねる事が出来ませんでした。その後、電車は台風で橋梁倒壊にあい廃線になったと聞いていました。
高千穂の話は人伝てや書物で知りながらも行けない場所でした。そして暮れも押し迫った本年12月半ば、念願の神々の御座す九州・高千穂地方を旅する事が出来ました。
延岡よりバスで神話街道・国道218号線を延々と五ヶ瀬川沿いを日之影、高千穂へと向かいました。延岡を過ぎて間もなくバスから眺める山岳重畳の細道を2時間程掛けて高千穂の里へと入ります。途中の日之影町辺りから眺める山々と五ヶ瀬川の谷の深さの景観は圧巻です。やがて標高約500mの高千穂バスセンターに到着したのです。
バス停には宮交タクシーのKさんが迎えてくれました。早速、予定された道筋を案内してもらい、まず【大岩戸神社】で神主さんの説明を戴き【日本書紀】を思い出しました。さらに高千穂神社、荒立神社と歩き、昼食はKさん推薦の十割そばを美味しくご馳走になり、関東そばと違う体験をしました。そこに働く小母さんの御もてなしにも温かさが有りました。
国見の丘では茫々たる山岳重畳の奥に【阿蘇の涅槃像】を遠望する事も出来ました。雲海に覆われる涅槃像は美しい風景だろうと想像をしました。
メディアで有名な高千穂峡の真名井の滝・遊歩道も歩きました。が、峡谷の【柱状節理(columnar joint)】には驚きがありました。若い時、少し地質学を学び、東尋坊や熊野の柱状節理を見ております。しかし高千穂峡の柱状節理は成り立ちが違っている事が解ります。過去の阿蘇火山活動で噴出した溶岩流が急激に冷やされた柱状節理でした。それも何万年単位で四度もあったそうです。遊歩道では曲がった驚きの二段の柱状節理を見ました。その真名井峡は浸食しやすい【溶結凝灰岩(灰)】の為に深い谷が出来たと思われます。
美しい深山幽谷と、神話の故里・高千穂地方を訊ねる事の出来た【心】の旅になりました。
高千穂の山々と柱状節理