残日録

初夏の光

4~5日愚図ついた天候も久振りに上がり霞ヶ浦湖畔を散歩して来ました。日の光はかなり強くなり初夏の装いを創っています。陽光は湖面に反射してきらきらと美しい風景が視られます。途中で空木の垣根に花が咲いていました。想い出すのは小学校唱歌で良く歌った【夏は来ぬ】のフレーズが頭に浮かぶのです。〽 卯の花の匂う垣根に ホトトギス 早やも来鳴きて しのびねもらす 夏は来ぬ。と、今でも良く覚えているのです。
後から知ったのは歌中の『卯の花』は空木(うつぎ)だという事を山仲間から教わりました。てっきり卯の花は【菜の花】だと思っていたのです。田舎では空木の花を良く見掛けます。どこの農家でも畑の境目に植えていたのです。祖母に素朴な質問を、『なぜか?』と聞いた事があります。が、答えは曖昧でした。調べると、ウツギは丈夫で寿命が長い為に畑の境界に【境木(さかいぎ)】として利用されたと言います。
毎年、初夏の風景は実に【】が美しく見えるのです。春の柔らかい陽光は初夏に向かいだんだんと光の質が変わり、より明るく力強い輝きになるのだと思うのです。この光が新緑や花々の色彩を鮮やかに際立たせ風景全体を美しく映し出しているのでしょう。特に土浦辺りの田園風景は拡大な面積があり、空の青色と相まって実に美しいと思えるのです。ツバメやヨシキリが飛びかい、カエルの合唱が始まり、田圃の稲は青々と成長して独特の臭いを発しています。また初夏は湿度が春よりも少し高く空気の透明度が微妙に変化をもたらします。これは朝・夕の光変化をより強烈に感じさせて光だけでなく季節の変化をもたらす空気の動きが自然と調和して際立たせているのかもしれません!
各家庭の庭先を見れば、同年の老人達は家にじっとして居られないのか、庭に出て花の手入れや草むしりをしています。声を掛ければ元気良い返事が返って来ます。初夏は人間の感情までも蘇らせるのだと思うのです。田舎ではどこの家でも庭を持ち、仏壇用の花々が咲き乱れる百花斎放という風景になります。近くでは【ホトトギス】も鳴き出しました。
松尾芭蕉も初夏の詩を詠んでいます。『しばらくは 滝にこもるや 夏(げ)の初め

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土浦から筑波山の風景

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畑の境木、空木の花

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我家のバラ

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