残日録

稀土類鉱物(レアアース)の採取 

今、トランプ大統領の関税問題は米国と中国の間であからさまな対立構図を示しています。どうやら交渉中に【希土類鉱物】関係の所で米国が折れた様です。この希土類鉱物は半導体や他のハイテク製品に欠かせない大事な物質になっています。『圧すれば制する』の考えはどうやら失敗した様です。
50年位前になるでしょうか? 埼玉・深谷で働いて居た時に秩父地方の地質に興味を持ち、いろいろと調べた事が有りました。【秩父自然博物館】にも通い学芸員から秩父の地質を教えてもらいました。その時、学芸委員が話してくれた中に、『日本はいずれ資源大国になれるかも知れない!』と言っていた事を強く覚えています。
世界で6番目の領海、EEZを持つ日本は南鳥島沖の【海台】に大量の【マンガン・ノジュール(マンガン団塊)】がある事が解っています。1972から1976年に掛けて海洋研究開発機構・千葉工業大学・東京大学の研究チームなどが科学探検航海でマンガン・ノジュールを発見しているのです。
ノジュールとは海底の海流の動きに動物の骨や貝殻などを核として転がりながら100万年に1㎜程度の厚さにシリコン塩や金属類(コバルト等の稀有金属)が成長して球状に堆積した物を言うそうです。長い時間を掛けてマリモの様に成長して行くのです。その海台の面積は四国や九州程もあり6万㎢以上の海底にごろごろとノジュールが存在しているというのです。唯、これを採集するには沢山のハードルを越える必要が有ります。未だ経済的評価、採取技術、海上輸送などの課題が沢山有って技術開発に力を入れている処です。
EEZ内の鉱物権利は海底から引き上げた時点で【所有権】が発生するそうです。従い、早く海底から引き揚げる事が重要になります。どの様にして3,000mの深海から経済的に引き上げられるかが勝負になるでしょう。必ず日本だけが独占出来るという訳でもないのです。現に中国は日本のEEZ内に入り調査している形跡が見られます。
最近の紹介では明確な目標も着々と進み、サンプルも沢山採取されている様です。半導体生産には希土類金属が欠かせません。この問題を解決す為には多くの技術とお金を必要とします。その為には日本との友好国との連合で開発を急ごうという動きがある様です。資源輸入国日本は一挙に【輸出国になる可能性】を秘めているのです。

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海底のマンガン団塊

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マンガン・ノジュールの形状

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深海調査艇

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