サラリーマンになって【アルミ圧延会社】の新工場現場で初めて部下を持つ事になった。振り返れば生涯の勉強をさせてもらえた大事な時期であったと思い返している。
新鋭工場では親会社を始め関連会社、新入社員、中途採用者など多種多様な従業員の中で【人間関係】を創り、全てが初めての体験は人生の勉強であって無我夢中の毎日だった。我々は【熱関係の現場】で三交代制(後に四交代)の変則勤務の二十四時間体制の職場で仕事をした。
新鋭設備の運転、生産効率向上、安定した品質など、現場の【軍曹】として最前線で多難な問題や想定外の措置が毎日の様に発生する。現場はアナログに動いている現実がある。幸い、部下は年齢が同じか、年下の人達で構成されて纏まりのあったことは幸いであった。
仕事以外では楽しい想い出も沢山ある。春の花見、ソフトボール試合、課・係や組の旅行、一泊の忘年会等々切りがない。又、その中で多くの【人生哲学】を学んだ。
そして自分の力の無さ、蹉跌、孤独感、上司の不条理、さまざまな人間関係の難しさの中で総合力を構築する事の大事さを体験を通して知り得る事が出来た。組織は【野ずら積み】の様に大きな石と小さな石が巧みに組み込まれて【強固な石垣】が出来ることを学んだ。
当時、テレビ人気番組【コンバット】のサンダース軍曹を投影して居た。ロシア系ユダヤ人両親の間に生まれた苦労人【ビックモロー】も大好きだった。現場は【コンバット】の様に、毎日の【戦場】を部下達のほとばしるエネルギーを束ねながら、彼らの【認識札】をジャラジャラと首にぶら下げて働いていた様にも思えた。
五十年以上経った今でも、当時の夢を見る時がある! 振り返れば、問題の苦しいことや嫌なことも【楽しい想い出】になって居る。久し振りに、当時の人達に会えば『あの頃が一番楽しかった!』と言われることが多い。自分もそう思っている。人生の肯綮を創ってくれた人々の温かい顔が【回り灯篭】の様に浮かんで来る。