残日録

〽 名曲アルハンブラの思い出

長いコロナ禍も、どうやら落ち着いて来たので三年振りに上京し、昔風の喫茶店に入りました。懐かしさとコーヒーの香りが蘇りました。そして室内には静かにタレガの【アルハンブラの思い出】の曲が流れていたのです。
10年位前、スペイン・トレドの旧街の、薄暗い喫茶店で【アルハンブラの思い出】を聞いたことがあります。何と、もの哀しく、繊細な良い曲だろうと聞き入りました。【フランシスコ・タレガ】は、南スペインのグラナダでアルハンブラ宮殿を訪れた時、名曲【アルハンブラの思い出】を作曲したそうです。地元では【アランブラ宮殿】と言うそうです。この音楽を聴く度に,ムデハル様式の古都トレドの教会を思い出します。
スペインは、多くの有名なギターリストを輩出した国です。フラメンコの名手、ペペ・ロメロ。ルネ・クレマン監督から依頼されて作曲した【禁じられた遊び】のナルシソ・イエペス。タレガの演奏技法を習得し、クラシックギターから大衆ギターへと発展させた、アンドレス・セゴビア。彼はナイロン弦の技法も精進させました。
学生の時、同窓生にフラメンコギターの上手い友人がいました。初めて【トレモロ】という技法を知り、良いものだと思っていました。あの【アルハンブラの思い出】にも金属弦のトレモロが心に迫ります。
日本でも多くのギターリストが【アルハンブラの思い出】を演奏します。誰もが名曲だと思えるのでしょう。いつかアルハンブラ宮殿を訪れたいと思いながら、それは叶いませんでした。ラジオやテレビで【アルハンブラの思い出】の曲が流れる度に、あのトレドの薄暗い喫茶店で聴いた情景をハッキリと思い出すのです。

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フランシスコ・タレガ氏

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旧トレドの街

 

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