残日録

ドジャース・スタジアムの大吟醸酒

もう30年以上も前になるだろうか? アルミ圧延会社に勤務して居た頃、アルミスリッター(切断)の関係会社へ随分通った事が有る。創始者は大正時代生まれの人であった。大学卒業後苦労して東京・東雲に会社を設立して日本一のアルミスリッター会社に育て上げた人である。晩年は息子に会社を譲り会長職になっていた。私も同郷という事で大変公私に渡りお世話になった人である。彼は暇が出来ると電話をして来て『今晩どうだと?』とお誘いが掛かる。肝いりの【水戸ッポ人】で郷土愛が強く、良く水戸や実家の話をしてくれた。
彼の実家は酒造会社【一品】で有名な吉久保酒造店の次男坊だった。お酒が大好きで小料理屋で良くご馳走になっている。その彼の実家は今、大谷人気に沸くドジャース・スタジアムのVIP席の酒類メニューに名を連ねているという。米国のソムリエ・ティスティングを経て選ばれたそうだ。その純米大吟醸はフルーティーで、はっきりと米の香りが感じられて日本料理に合うのが特徴だと人気になっているらしい。
茨城県には、今でも35以上の日本酒蔵元が有り、半分以上は江戸時代から続く老舗の酒蔵店が多い。彼の実家・吉久保酒造店も江戸・寛永代の創業260年以上も続く老舗である。
ドジャースニュースの中で名酒【一品】の名を聞いて大先輩を思い出して懐かしさが込み上げて来た。最後に会ったのは行きつけの小料理屋で饒舌に酒を酌み交わし、楽しい酒席を持った時が最後になった。それから三年後に静かに黄泉へ旅立って行った。この歳になると、お世話になった先輩達の顔がやたらに浮かんでくるのである。

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大正時代の吉久保酒造店

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吉久保酒造前

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ドジャースタジアム

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ドジャースVIP席のメニュー

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一品銘柄

 

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