散歩の途中、公園内のグラゥンドでは老人達がゲートボールをして大きな声で騒いでいるので暫く眺めていました。会話の中に久しく聞かなかった【ロートル】という言葉を耳にしました。就職した最初の職場は福島県喜多方市のアルミ精錬工場でした。当時、戦中に中国、満州、シベリアなどに出兵して引き揚げて来た人達も一緒の職場で働いたのです。良く、『ロートル、ロートル』を耳にし、皆は温かく年上の人達を尊敬した言葉として使っていました。当時はロートルが英語かとズートと思っていました。が、どうも中国語だという事が解ったのです。職場以外の飲み屋などでも【ロートル】という言葉を良く耳にしました。が、ここでは老人を馬鹿にしたニュアンスで使っていた様です。
旅や出張で何度か中国を歩きましたが、ロートルという言葉を聞いた事が有りませんでした。老人を何と言っているか聞いていると、【ラォトウ】と発音していました。漢字では【老頭】と書く事を知りました。これを日本人はロートルと聞こえたのでしょう。
中国や台湾を旅すると老人達が野外でのんびりと公園や道路などでマージャンや太極拳などをしているのを見掛けます。これは東南アジアのマレーシアやインドネシアなどでは老人達を外で見掛ける事が少ない様に思うのです。中国はもともと儒教思想の国であり、【孝】の精神が重要視されて、親や祖父母を敬い大切にする事を文化として来た様です。中国では公共交通機関や公園などで高齢者を優遇する制度が整っているとも聞きました。社会全体で高齢者を尊重する風潮が今でも有ります。日本でも戦前までは論語の教えが有りました。それが最近の教育では個人主義やプライバシーを重視する風潮が強く、社会は老人をないがしろにしている様に思うのです。社会全体で弱い人を大事にする思想に欠けています。この事は家族の親子関係や分断に繋がっている【一因】と言って良いでしょう
今、中国では老人用の自動車があるそうです。名前を【老頭楽】と言い低速で走る車で交通規則も老人優先と聞きます。【老頭楽】名と面白いですね!老人を【老頭】で表し、【楽】に乗れる車という事になるのでしょう。
中国の街中を歩いていると面白い漢字名に合います。例えば三得利(サントリー)や大金(ダイキン)など上手い表現だと感心させられます。また大器晩成(大きな器は時間を掛けて完成する)、物是人非(自然は変わらないが人は変わる)など奥深い表現もあり、中国歴史の奥深さを感じさせます。街頭で見掛ける老頭の穏やかな表情と人懐さは外から見て居ても嬉しくなってしまいます。
![]() 中国の朝の公演風景 |
![]() 公園でのmah jong風景 |
![]() 老人専用 老頭楽 |